トレンド強弱の分析に役立つのが「チャネルライン」。
チャネルラインは、2本のラインを平行に引いたトレンド系のテクニカル指標です。時間足を変更しても自動的に再描写する機能性の高いラインツールで、2本のラインは支持線(サポートライン)や抵抗線(レンジスタンスライン)と見なすことができます。
この記事では、チャネルラインの基本的な知識をはじめ、引き方・見方・消し方についても紹介していきます。
チャネルラインとは?
チャネルラインはMT4/MT5にもともと搭載されているライン描画ツールの1つですが、「チャネル」には“水路”や“運河”という意味があります。
2つのラインを引いた間が水路や運河に見えることがチャネルラインの語源と言われています。
チャネルラインはトレンドラインに平行して描くラインで、2本の線を合わせるとチャネルラインになり、1本の線のみで分析するときはトレンドラインになります。
2つのラインの幅や傾きから、トレンドの強弱や方向性を捉えるのがチャネルラインの一般的な使い方です。
チャネルラインの引き方
1. 平行チャネルを選択する
平行チャネルを選択する方法は二つあります。
一つ目はMT4/MT5でチャネルラインを引きたいチャートを表示させて、「挿入」タブの「チャネル→平行チャネル」の順番で選択します。
二つ目はツールバーの「平行チャネルを作成」をクリックする事でも平行チャネルを作成する事ができます。やりやすい方で覚えておきましょう。
2. チャネルラインの起点を決めて安値を結ぶ
チャート上でクリックした場所が「起点」となります。「起点」をまず安値に合わせて、ドラッグでラインの角度を決め、もう一つの安値とラインを結びます。
チャネルラインは上図のような感じで表示されます。
次は反対側のラインを高値に合わせていくのですが、先にチャネルラインの編集方法を見ていきましょう。
チャネルラインの編集方法
ライン上をダブルクリックする事で選択状態となり、白の四角「□」(起点・支点・終点)が表示されます。チャネルラインを編集する時はこれらの白い四角を動かす事で行います。
- 起点:トレンドラインの起点「□」をドラッグすると角度を変更できる
- 支点:起点と終点の間でドラッグすると移動ができる
- 終点:トレンドラインの終点でドラッグすると角度を変更できる
- 幅の調整:起点と反対側のラインの「□」をドラッグすると幅の調整ができる
3. 反対側のラインを高値に合わせる
最後に反対側のラインを幅の調整で高値に合わせていきます。反対側のラインの白の四角部分クリックしたままドラッグする事で、ラインを上下に動かせるので、高値にラインを合わせます。
これでチャネルラインを引くことができました。細かな調整は上のチャネルラインの編集方法を参考にしてください。
時間足について
時間足については、チャネルラインを始めとするすべてのラインは長期足ほど機能しやすい特徴があります。
つまり、1時間足、4時間足、日足、週足と時間足が長くなるほどチャネルラインの正確性は高まり、15分足、5分足、1分足と短くなるほど正確性は低くなるわけです。
長期足からトレンドの方向性を確認して、短期足で方向性に沿ったトレードをするのが基本的な使い方になります。
チャネルラインの見方・活用方法
チャネルラインは、トレンド分析や売買エントリーのポイント探しに役立ちます。また、レンジ相場で活用できるのもチャネルラインのメリットです。
ここでは、チャネルラインの見方・活用方法をトレンド、レンジ相場ごとに紹介します。
売買エントリーのポイントを見つける方法
チャネルラインから売買エントリーのポイントを見つける方法は次の2通りです。
- 上昇トレンド:価格がサポートラインに達したら買い、チャネルラインに達したら売り
- 下降トレンド:価格がチャネルラインに達したら買い、レジスタンスラインに達したら売り
この方法はトレンドに沿った順張りスタイルで、トレンドの向きに逆らうことなく短期的に売買を繰り返していきます。
トレンド転換を見つける方法
チャネルラインからトレンドの終わりや転換ポイントを分析する方法もあります。
ポイントとしては、価格がチャネル付近まで反発しなくなったらトレンドの転換点と見なせます。
上記の画像を見ると、価格がチャネルラインに到達しなくなっていますね。
チャートの動きを見ると、上昇トレンドを形成した後、レンジ相場に移行しているのが分かります。
実際のトレンド転換は上昇トレンドであれば直近の安値を下回り、下降トレンドなら直近の高値を上回るとトレンドが転換したと判断しますが、チャネルに価格が到達しないということは明らかにトレンドが衰えている状態です。
レンジ相場で活用する方法
レンジ相場では、チャネルラインをブレイクしたポイントをトレンドの発生と見なします。
レンジ相場でも上方のチャネルラインに到達したところを買い、下方のチャネルラインに到達したところを売りにすることで安定的なトレードが可能です。
上記の画像ではレンジ相場から下降トレンドに転換していますが、下降トレンドに突入する前に上方のチャネルラインに価格が到達できてないのが分かります。
このポイントがレンジ相場の終わりを示唆しているので、トレンド転換に備えて保有しているポジションを決済するか、売り注文を入れて下降トレンドの順張りに切り替えると大きな利益が狙えます。
他のチャネルラインの見方と使い方
MT4やMT5のチャネルラインには、平行チャネル以外にも「線形回帰チャネル」、「標準偏差チャネル」、「フィボナッチチャネル」などがあります。
ここでは、3つのチャネルラインを紹介していきます。
線形回帰チャネル
線形回帰チャネルの表示方法は「挿入→チャネル→線形回帰」で、チャート上でラインをクリックすると設定したい期間まで伸ばせます。
線形回帰チャネルとは、線形回帰分析の1つで線形回帰線の上部と下部にラインを描いたものです。基本的にレートは線形回帰チャネルに収まります。
線形回帰チャネルの価格はラインを超えて外に出ることがないため、“上方のチャネルラインに達したポイントで売り”、“下方のチャネルラインに達したポイントで買い”の逆張りができます。
ラインの角度からトレンドの強さの判断も可能で、角度が急であれば強いトレンド、角度が緩ければ弱いトレンドです。
標準偏差チャネル
標準偏差チャネルの表示方法は「挿入→チャネル→標準偏差」で、チャート上でラインをクリックすると設定したい期間まで伸ばせます。
標準偏差チャネルとは、ある一定期間の等間隔の上下ラインと2つのラインの真ん中を合わせて3つのラインが表示されています。
上下のラインを価格が超えてくると値動きが激しいことを示しているので、反発や反転のシグナルを予想することが可能です。
また、上下のラインを価格が超えた後、価格がサポートラインを下から抜けて来たら買いのエントリーポイント、価格がレジスタンスラインを上から下に抜けてきたら売りのエントリーポイントになります。
また、中央の線を価格が上下に超えてくるような場合も勢いが強いことを意味します。
フィボナッチチャネル
フィボナッチチャネルの表示方法は「挿入→チャネル→フィボナッチ」で、下降トレンドなら起点を上値に合わせて上昇トレンドなら起点を下値に合わせてラインを描きます。
フィボナッチチャネルはフィボナッチ比率が用いられているラインで、チャネルの外側に「0.618、1.000、1.618、2.618」が自動で描かれています。
価格がチャネルラインを超えたとき、どこまで上昇・下降するかの目安として用いるのが基本的な使い方です。
チャネルラインの消し方
チャネルラインは、複数のラインを引いて分析する場合もあります。
トレンドラインやサポートラインなどをたくさん引いているとチャートが見えにくくなってしまうので、使わないラインは削除して見やすいように調整しましょう。
チャネルラインの消し方の手順は、
1. チャート上で右クリックし「表示中のライン等」を選択する。
2. 表示中のラインリスト等リストから削除したいラインを選択し削除をクリックする。
以上の手順で簡単にチャネルラインの削除ができます。
また削除したいチャネルラインをダブルクリックで選択した状態で「Delete」キーで削除することもできます。
まとめ
チャネルラインには4つの種類がありますが、まずは平行チャネルを描いてトレンドの方向性や強弱を分析するところから始めましょう。
平行チャネルに慣れてきたら、標準偏差チャネルや線形回帰チャネル、フィボナッチチャネルなどで分析していくと、より精度が高いテクニカル分析ができます。
チャネルラインが描けるようになると、ローソク足の高値・安値を気にするようになり、深いチャート分析につながります。
まずは分析がしやすい長期足からはじめて、徐々に短期足にも移行していくと良いでしょう。